本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

大きな子ども

5日
やっと待ち人が来る。からあげ食べる。おいしい。

6日
この日は一日、習い事。途中、小学生だと思われていたらしい。ラーメン食べて帰る。

7日
朝は仕事。街を散策。こっそり公園で遊ぶ。
昼からはカレーを食べて買い物など。私がよく、ひよこのラインスタンプをつかっているからと、銘菓ひよこをもらう。
夜に些細なことでわっと泣いてしまう。大きな子どものようだ。
人と一緒にいることは嬉しいのに、一緒に過ごすほど苦しくもなる。

8日
朝から元気がない。早く帰ってぐっすり寝る。
大人は子どもを助けてあげられないということに軽く絶望する。 

〈同棲つっても/所詮 体の大きな子供の共同生活じゃないか〉

日暮キノコ『喰う寝るふたり住むふたり』より)

8年付き合って結婚していないふたりの話。しかし、何か問題があるわけではなく、ふたりとも普通にいい人なのだった。

〈夫婦こそ 一周回って/究極の男女の友情なのでは…?〉
(同上)

これを人に言ってみたら、「いい人間関係というのは『友人』だと思うけどね」って言ってた。

十年目のジンクス/他人じゃなくなりたい

「私の所望(のぞみ)はね 貴方に可愛がってもらいたいの」/「何 内君(おかみさん)にしてくれと言っているんじゃない/唯 他人らしくなく/生涯親類のように暮らしたいというんでさね」

泉鏡花原作:中島千晴漫画『義血侠血』より引用/台詞は漫画版より)

11/1
母親から連絡がある。骨折したらしく心配。

2日
友人に会って、牧場に行く約束をする。
歯医者で大号泣。大丈夫かな?
夜は少し電話をする。

3日
仕事で朝から仏生山へ。ことでん琴平線は学生時代よく乗っていたので、なんだかなつかしい。ことごとく行きたいお店が閉まっていて残念。

帰宅して、疲れがどっと出てずっと眠り続けてしまう。夜に起きて、なんとか練習へ。(見るだけだけど)
そのあと実家に戻ると父親が帰ってきていて、偶然の再会を果たす。

今日、ふだんあまり連絡をしない人が連絡してきてくれて嬉しかったのだが、疲れが勝って「今日は疲れてるからまた今度話すね……」と言ってしまう。でも正直に言えるのはいいことだと自分では思っている。

もうひとり、友人から連絡がきて明日入籍するのだと教えてくれた。ちょうど十年前の大学祭で私が彼女に紹介した人と結婚するのだ!
私たちは十年後も誰も結婚していないよと、当時は笑いあったけどそのジンクスも崩れた。なにはともあれ良かった。


「可しい(よろしい)/決してもう他人ではない」

(『義血侠血』漫画版より)

この『義血侠血』の講義を大学で一緒に受けていたよなあ。
泉鏡花『義血侠血』の漫画版が収録されている。『Kの昇天』の絵本を読んだら漫画版も読みたくなってこれを購入したのだが、『義血侠血』の切なさのほうが胸に残った。
あとタイトルがいいと思う。たしかに義血で、たしかに侠血。
「あなたにかわいがってもらいたいのさ」と言う前後で、ちょっと照れるのが可愛かった。

支配ではないけど、好きな人に自分の命(と等しいくらいのもの)をゆだねてみたい、とか、捧げてみたい、そんな欲望を泉鏡花の作品からは感じたりする。

はがれる

26日
仕事のあとタリーズで、22時まで作業。

27日
練習。ハロウィンのお菓子をいただいた。

28日
海を見る。波打ち際っていいよね。海岸でフォトウエディングをしているふたりがいて、すてきだった。
シュークリームを買って帰る。
夜は練習。練習のあと連絡がくる。待ち人が帰ってきた。

29日
朝、突然に連絡があり、離れていた人が戻ってきて少し心乱れる。本当は何のために来たのか知りたい。ぱっときてぱっと帰っていく。

夕方、ある人と話すことができて、
ここ最近ずっと心に引っかかっていたことが一つの終わりを迎えた。
自分はもっと何か、取るべき手段があったのかなとか、どうしたら良かったのかとかずっと考えていた。
最後ではないけど、こんなに頻繁には会えなくなる最後に、言葉を交わせて良かった。

夜は電話をする。

30日
朝から夕方まで練習。
練習も、二ヶ月かけて取り組んでいたことが一旦終わってほっとした。
夜は電話をして、昨日あったことを聞いてもらう。
「あなたが考えて決めたことならそれは間違いではないと思うよ」とその人は言ってくれた。

31日
習い事の行事がある。これも、相談を受けていたことがあって(続けるか続けないかで)明確な答えは出ないけど、道筋は見えたように思う。
練習練習、ひたすら練習!疲れた。

さまざまな物事がうごいて終わって、また新たな局面をむかえる感じ。ちょうど去年の今頃も、こうして生まれ変わる時期だった。
そしていまどこかで花火の音がきこえている…


〈ところで、月光による自分の影を視凝めているとそのなかに生物の気配があらわれて来る。〉

梶井基次郎Kの昇天―或はKの溺死』より)

わたし、梶井基次郎の作品の中でもこれがめちゃくちゃ好きなの。『檸檬』や『愛撫』でいつも忘れてしまうけど。
絵本が出たので買ったけど、文章だけで読んだときのほうがより広がりがあったと思う。

3週間と1日

22日
女の子が、「わたしはもう3週間と1日待った」と言っていた。たしかになあ、と思う。
私も3週間と1日くらい同じくらい待って落ち込んでいる。だから天真爛漫な彼女は偉い。

昨日より元気だけど、ある一言で一瞬、過去に戻ってしまう。忘れたつもりでも忘れていないことがあって、記憶がおばけみたいに追い詰めてくる。おそらくそれが私にとっての傷痕なのだろう。

23日
朝、練習。
夜は久しぶりに人とお酒を飲みに行く。
とても好きだった、先輩と。
「誰も私と一緒に壊れてはくれなかった」という会話が印象的だった。フィッシュアンドチップスおいしい。
電車がなくて、歩いて帰る。
ウォークマンがシャッフル再生で「アルクアラウンド」かけてくれて嬉しかった。

24日
朝は練習。その前に後輩と話す。習い事を続けていくかどうかという話になる。数年前の自分なら、迷いなく「辞めないで」と言っていたはず。でも最近は何が正しいのか私にもわからなくなってきた。
ただ、「もしも同じ状況ならあなたはどうしますか?」と聞かれて、そのときは迷いなく「続ける」と答えたのが自分でもびっくりした。
休みたい気持ちはあるけど、続ける前提がまだまだ自分の中にはあるらしい。

昼は、昨日とは別の先輩とニカイ(nikai)のカレーを食べに行く。ずっと行きたかったお店で嬉しい。到着したとき店内で、aikoの『赤いランプ』が流れていてさらに嬉しかった。そのあとサンリンシャに立ち寄って、くまのぬいぐるみがある映えそうなカフェでお茶する。キラキラ空間かと思いきや意外と居心地が良かった。
久生十蘭の「黄泉から」すすめてもらう。
久生十蘭という響きを久しぶりにきいたわ。

カレーを食べたあとからとても眠くて、帰ってからおどろくほど眠る。

25日
わりと平和に進む一日。雨が止まない。
帰りがけに、「助けてほしい」と電話があり、仕事のヘルプに入る。結局20時くらいまで残る。そのかわり、アルフォートを貰ったのと、いい感じのカフェを教えてもらった。

季節が変わるのにあわせて、私もだけど、周りも少しだけ不安定な気がする。


「君にだれかと結婚してもらって、はやく楽になりたいといっていた」
久生十蘭『黄泉から』より)

最後がもう……読んでっ!
と、先輩が言っていた。たしかに、とても最後が。胸がぎゅーっとなる。

記憶が私をおばけのように追い詰めてくる。光太郎も追憶の中で記憶の中の存在にとらわれてしまう。でもそうやって傷痕になる人たちは、もともと自分にとって特別な存在だった人たちなのだろう。

読みやすくて、綺麗で切なくて私はとても好き。『異人たちとの夏』を思い出した。


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今週のお題「読書の秋」

灰色の雲に溺れて気絶するような夕方

〈桃色の炭酸水を頭からかぶって死んだような初恋〉

(田丸まひる の短歌)

田丸まひる『硝子のボレット』

昔、本屋さんのワークショップで短歌をつくろうというのがあり、そこで田丸さんが講師をしてくれたことがある。あのときも秋だった。
ずとマヨの『ヒューマノイド』聴いていて、この短歌を思い出したのだ。

〈桃味の炭酸水に2人潜り込んで少し泣いてもわかんない具合に晦ましあえた〉

(ずっと真夜中でいいのに『ヒューマノイド』より)

ヒューマノイド

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  • ずっと真夜中でいいのに。
  • ロック
  • ¥255


18日
キリの悪いところで夕暮れがきて、帰るか残業するか悩んでいると先輩が
「そういうときは帰ったほうがいいんちゃん」と言ってくれる。
というわけで、早く帰るキャンペーンが始まった。早く帰ると、久しぶりにすごくゆったり過ごせて良い。
なんとなく爪を黄色に塗る。

19日
爪がかわいいと、女の子が言ってくれる。
寒くなって、秋の服をようやく着る。

20日
「仕事は私生活の息抜きです」と話していると
「かえって、君の私生活にはどれだけ闇があるのかと心配になるよ」と先輩に言われてはっとした。
夜、練習を見るだけ見に行って、それからなぜか落ち込む。
なんとなく一ヶ月くらい前から、あれから臆病になってしまったなというきっかけはある。

心に風をたてれば波が起きて泣いたり叫んだりするくらいには、暗い気持ちがあるんだけど無視している。

21日
「大丈夫じゃないね」と言われる。
そんなふうに思わせる自分が嫌。

早く帰って、ずとマヨ車でかけていた。そして桃色の炭酸水に想いを馳せていた。

夜は練習。練習、どうにかして楽しくしたいな。