21日
おおむかし恋人だった人から連絡が来る。
その人とのやりとり履歴はずっと消さずに残していたので、はじめから終わりまでそんなに険悪ではなかったんだなと実感する。(つらいと全て消してしまう)
でも、やりとりを遡ってみていくとおそろしいほど、本当の私がどこにもいないような気がした。違う誰かが文章を書いているみたいだった。
職場で新聞を読んでいて、占いをながめながら近くにいた人に生まれ月を聞いてみる。すると誕生日が2日しか違わないことを知る。新聞の占いのなかでは同じ運勢になるので、たとえばすごくつらい結果のときも、この人だって同じなんだな、と思えるなと思った。うまく言えないしわれながら気持ち悪いけど。同じということに励まされるかんじ。
22日
朝から仕事がうまく行かない。忙しいのかな?
でも話す人たちもなんか変。みんな忙しそうで、ピリピリしてる。やりたいことがあるのに、止められる……。
すったもんだな一日だった。
なぜか21時まで職場にいた……。
手伝いますよ、と言ってくれた同い年の人のことを、やめて!と抱きしめて阻止したら(※密なので本当はいけない)、
「ガールズラブ…!?」と言っていた。ちがう。
お客さんがきていて、最悪スパイラルの話をする。最悪スパイラルというのは、さんざんな時のこと。
やることなすこと期待から外れて、おまけに周辺の出来事も最悪のタイミングでつぎつぎショックな知らせが重なってくる(まわりに悪気はなくても、自分がポジティブに捉えられない状況になっている)こと。
応援しています、しか言えなかった。でも私が最悪スパイラルになっていたときは、その人が声をかけてくれたんだった。窓から地面を見おろしていたとき。
仕事が終わらない、しかし合間にこれを読む。
〈全てを見せて依存するよりも、離れて自立して、もう一度知らない女に戻った方が良いのだろうと思ったことがあった。でも怖い。生活の幸福な部分が丸ごと取り除かれるのが。〉
綿矢りさ『しょうがの味は熱い』
同棲している若い恋人たちの話。
依存ぎみの彼女と、一線を引く彼氏。
表題作があっさり終わるので、おお、短編だったんだなーとおもっていたら、すっと続編に突入する。
最初の話と続編とでだいぶ印象が変わるので、時間をあけて書いたんだろうなあと感じた。実際そうで、その年数分作中でも時が経っている。私は最初の話の雰囲気のほうが好き。
でもこれ、問題解決はしてないのでは……と予感したそのままの問題が続編ではたっぷり書かれている。なんだか、沼〜という感じの話。ぬま〜っとしてる。ドロッとはしてない。
地味でリアルでたんたんとしているので、あまり深く考えずなんとなく読むのにぴったりだった。それこそしょうが湯のような話。
過去の自分が読んだら泣くのかなあ、いまそうでないことに少し安心してしまう。健全な感じがする。
でも、前に会った女の子が、沼は沼で楽しいし、今はそれを楽しんでるからいいの。と言ってた。それはたしかにそうだろうなーと、わかる。
綿矢りさも、落としてくるよね。色々と。幸せに素直に着地しない感じ。
また綿矢さんの他の本も読みたくなった。
帰宅すると手紙が届いていた。ハラハラしながら開封した。なるほどね。木守食べたいなあ、また。