建物を3階まで登ると桜の樹を上から見おろすことができる。
ここから飛び降りたら、桜の樹の下にこわい伝説でもできるのかな。決してそんなことはしないのだが。
29日
記憶がない……。職場の大掃除をしていたのだと思う。帰宅後、寝ていて気がついたら意外な人から連絡が来ていた。明け方に返した。
30日
贈るために買った本を渡す(その1)。
休憩時間に、ピクニックに誘ってもらう。お弁当を持って近くの公園へ。天気が良くて桜が満開だった。美術館の敷地内にある公園で、以前ここへ遊びに来たことを思い出す。あの日は雨がふっていた。子どもみたいに遊んだ。
そのあときちんと働いた。
31日
贈るために買った本を渡す(その2)。
うれしい、と言ってもらえてうれしい。
もっと一緒に居たかったです、と手紙に書いたら、その人の手紙にも同じことが書いてあった。
ふとすれ違った先輩から、「(職場に)残れてよかったね」と声をかけられる。ふいに、しみじみとそう思ったのだと言う。
私もそう言われて、ああよかった、とあらためて感じた。
とりあえずここで一区切り。心が落ち着かない、長いながい一年間だった。
家につくと自分のスイッチがふっと切れて、なんか泣きそうな気持ちになってしまう。
電話で話をしていると、だんだん元気になってきた。すごい。
4月1日
同じ職場、何も変わらないようでいて、自分も他の人も、変化はたくさんある。
そわそわする。
席が変わって仲良しの人と隣になる。
去年より忙しくなる。とっても嫌だ。
でも一年経ってやっと、今いるところが、自分の居場所だと許された感じがある。
そのことがとても嬉しかった。
『ar 2021年4月号』
- 発売日: 2021/03/12
- メディア: Kindle版
さくら色。
そういえば、私はある人から見たら三色に分かれているらしく
麻色(ベージュ)/黄色/むらさき色
らしい。