本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

そこそこ大変だった大賞2021

今年のまとめ、印象に残った本ベスト3も紹介します。

1月
楽しくなる予感がした。それと同時に、対人関係において自分が感情をコントロールできない予感も抱いていた。

2月
この人に私のすべてをつまびらかにひらけば、一体どうなるの。と思っていた。その対象は、ひとりだけではなかったのだと思う。
小説をひとつ書いて、あまりにその当時の自分のことが現れていて、そうして表現できたことがとても嬉しかった。
子宮頸がんの検査で引っかかって、その再検査などで気持ちが重たかった。
この頃、習い事がんばっていた。

3月
仕事の更新が決まる。自分の居場所がようやくできたようでほっとした。
人間関係が少しずつ変わり、また終わっていくときでもあった。職場の人とこのころは仲が良くて、みんなでシュークリーム食べてお茶会などしていた。

4月
この頃から、少しずつ雲行きが怪しくなる。
足元も前も後ろも隣も深い沼だった。

そのまま職場に残れて、もっと楽に過ごせるはずなのに、なぜかうまく行かない。去年のほうがもっと落ち着いていたような気すらした。

5月
30歳になった。誕生日にケーキを、そして母から鈴蘭の写真を貰った。とても嬉しかった。
エヴァの映画を観に行った。ひとりで映画館に足を運んで観た、生まれて初めての映画になった。

この月はすごく久しぶりに他人と旅行をして、情緒不安定になった。「長く一緒にいたから」と言われたが、きっとそうなんだと思う。

6月
職場で急に泣いたり、感情がうまく処理できないことが続き、職場のカウンセラーさんに相談していた。

7月
この頃からまた人間関係が変わってきた。
悪い流れをそれなりに断ち切り、楽しい予感ふたたび。
オリンピックムードでいっぱいの中、そういえば山登りもしていた。大変だったが、新鮮だった。

8月
この人と恋人になれば、すぐ結婚できるんだろうなあと思うようなことがあった。(何にも、ならかったのだが)
イカマヨ丼にはまっていた。ほかほか弁当の。
習い事で、目標をかなえることができなかった。今まであきらめるという発想があまり無かったのだが、このときからだんだんと、次の段階へシフトすることを考え始めた。
けっしてネガティブな意味ではなく、自分も年齢が上がったし、今まで通りのルーティンではなくて、苦しくならないように継続したい。
そんな気持ちで。
友人のひとりと連絡が取れなくなった。

9月
職場の若い人たちと少し話せるようになってきて楽しかった。
その一方で、仕事で大きな出来事があった。失敗ではないと今でも思いたいけど、失敗としか言えないのだろう。つらかった。
自分の立場だからできることと、自分の立場だからできないこととがあって、そのバランスをはかりかねていた。

10月
仕事と習い事と、少し落ち着く。

11月
忙しかった。しかし隙間をぬって出かけた松山は楽しかった。しかし忙しかった。

12月
ひょんなことから出張で県外に一週間ほど行くことに。まあもう一生ないようなことだしいっか。12月は本当にばたばたしていて、気づけばあと一日で一年が終わってしまう。まさに師も走る慌ただしさ。

去年は、環境が変わっ(変え)て、それに付随してきた変化が印象的な一年だった。
今年はどちらかというと内面、自分自身について考える機会が多かった。
他人と居ると自分が不安で揺らいで、どうしようもないものになってしまう。それを思い知った一年。去年や一昨年よりだいぶ元気になったつもりでも、傷はすぐ痛むし、傷口に立つ人たちは何くわぬ顔で私に絡まってくるし、フラッシュバックすることもあるし、怖いし、私はまったく平気なんかじゃないんだと思う。
わたしは今でもどこかで病んでいる。

でも、一年かけて私は普通の人間になろうとした。
相談していたカウンセラーの先生が、相手のことを大丈夫だと信じることができれば、だんだん大丈夫になっていくと言っていた、その状態になりたかった。
まだなってないけど。

それと同時に、自分で自分をちょっと楽にさせてあげようとも思い始めた。習い事でも、これまで練習を休んだり、あまりしなかったけど、もうあまりつらいばかりのことはしたくない。自分のことを締めつける手を、自分で緩めてあげたいと思った。

今年読んでよかった本ベスト3

〈睦月みたいに善良な人には何でもないことなのかもしれない。やさしさとか、友情とか、家族としてとか、それだけのことなのかもしれない。それでも私は、ときどきたまらなく苦しくなるのだ。全身が、哀しい果物のようになってしまう。〉

1位:江國香織きらきらひかる

再読なのだけど、これまでになく心にしみこんだ。笑子の気持ちは、私の感じたことそのもののようで、痛くて苦しかった。
終わり方も昔は好きだったのだが、今読むと何も解決していないし、最適解でもないように感じた。だってこれは笑子と睦月ふたりのことなのに。

2位:志村ふくみ『語りかける花』

もの言わぬものでも、意思を持つことがあると思っている。私の車も、書店の棚の本も。
この本で綴られる花たちもまた、人に語りかけてくる。その貴重な瞬間をとらえていること、その感覚を持ち続けてくれていることが読んでいて嬉しかった。

3位:千早茜『透明な夜の香り』

今年読んだ小説の中で一番面白かった。純粋にめくる手がどんどん止まらなくなって、堕ちていってほしいほうに心が転がっていく物語。


次点:藤緒あい『誰かのことを好きなだけ』

今年読んだ漫画で一番面白かった。



そして伊吹亜門『幻月と探偵』

〈氷の塊を呑み込んだように、肚の底が冷たくなった。〉

私の夢を叶えてくれた本!かもしれない……。
蓋を開けるととても緻密なつくりになっているからくり時計のような一冊。でも突然時計の針が弾け飛んで突き刺さる、そんな危うさも持ち合わせている本。
ちょっと狂ってるところが好きだし、わたしも例えばこれから普通の人間になったとしても、ちょっと狂っている部分はどこかに持ち続けていたいと思う。

2022年はもっとやわらかくなりたい。



お題「我が家の本棚」