本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

とてつもない安心・とてつもない執着

さいころ香川から本州に渡るときの交通手段はだいたいがフェリーだった。瀬戸大橋は開通していたけれど、フェリーは安価で向こうに渡ってしまえば電車があるし寝ながら現地に着けるので、選ばれていたのかもしれない。

フェリーで三宮に着き、ほぼ始発の阪急に乗って京都に向かう。夜明け前の三宮の街を歩いたし、朝が始まっていく冬の神戸を電車の車窓から眺めて寂しくなった。夜明けの街は寒くて寂しくて怖くていつも嫌いだった。

いまふと、そんな景色を思い出した。なぜだろう?

 

23日

明日はいません。と話す。

 

24日

憂鬱な出張があるが始まれば終わりの精神で向かう。

 

25日

出張先で昔お世話になった人たちと会えた。とても嬉しかった。

 

26日

怖い夢を見た。

起きたときすごく怖かったけど、

今の私の周りに、私を故意に傷つけようとする人はいない。と、不意に思った。

そう考えると気が楽になった。

外はとても晴れていて、散歩したらすっきりした。

 

いろいろ終わって帰宅して、やっぱり家が一番だねと話した。

 

27日

こう出来たら良いなと思うことをできた。

逆に、これで良かったのかと思うこともあり、どうしても胸のつかえが取れなかった。事情をよく知る人に電話して相談すると、あなたのしやすいようにするのが一番だよ。と言ってもらえた。

雨のあとは湿度が高くて、湿度は苦手だ。

雨は嫌いだ……って乙一の小説だっけ。未来予報。(あとから読んだら、傘というやつは嫌いだ だった)

歯医者に行く。もう三十三なんです。と言うと先生が、俺が落ち着いたのは三十二を過ぎてからだよ。と言っていた。岡本太郎と同じようなこと言ってるなと思ったし、私もここからどんどん丸く鈍くなっていくのだろうと思った。

 

最近読んだ本

入間人間嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸 完全版』

いつか読んでみたい伝説的な本 のカテゴリにあった(私の脳内にある)一冊。

少年少女がすました顔で残虐な行為に堕ちていく様子で、多島斗志之の『少年たちの穏やかな日々』を思い出した。

自分が十代だったらもっと浸れたのだろうなと思いながら軽快な会話シーンの上を目が滑っていった。あんまり驚けなくてごめん……。まーちゃんは普通に可哀想。

べたべたべたべた甘えることを許しあえたら、それはとてつもない安心になってとてつもない執着になってしまう というのは、とてもよくわかる気がした。わかっていてもそうするしか、自分を安心させる術がないんだ。

 

そしていますべてが腑に落ちた。

神戸に行ったときにこの本を読んだから、私は神戸の景色を思い出したんだ。反射のように。

 

 

お題「我が家の本棚」