本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

月/おいてかないで

21日
映像作品をつくってみる、イメージと実際やるのは全然違う。難しいね。
仕事がとても忙しくて余裕がない。
中秋の名月らしく、月がめちゃくちゃ綺麗。思わず人に教えたいけど教えなかった。

22日
余裕がない2。駆け抜けるように過ごす中でときどき虚無感が降る。本当に大丈夫かな?と思う、色々。
夜、ふいに金木犀が香っている。本当に秋がやってくる。
実は数日前に詩を作った。去年の秋も詩集(4頁だけ)を作ったから、今年も一冊作ろう。毎年秋だけの詩集が増えていくかと思うと楽しみ。

昨日の月綺麗だったねと、ある人が言ってくれる。きれいだった、そう話したかった。というようなことを返すと、今日話せてよかったねと言ってくれた。

23日
朝は練習。練習するの疲れてきたし意味が見いだせなくなってきた。惰性。
午後はイオンに行く。人が怖い。
ラーメン食べる。一緒に食べる人がいるの幸せだねと話した。
月が赤い。

〈「おやすみ、そこの男の子」/僕は夜の挨拶を返した。/「おやすみ、月の女の子」〉
(有栖川有栖『月光ゲーム』より)


有栖川有栖『月光ゲーム』

クンダバファーとかむちゃくちゃ懐かしいわ。すっかり忘れてたわ。
大学ミステリと電波系って相性いいよね。
月にとらわれた一冊、ここにすべてが詰まっている感もある。有栖川有栖は夜の作家、月の作家。

学生のころ、チャネリングして徹夜して朝の広場で先輩たちとスクエアとかしたな。

Into The Night

Into The Night

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥407

最近また聴きたくなって聴いている。英語版も耳が慣れてきたのか、好き。

わたあメンタル/最後の一週間

15日
仕事でちょっと色々あって怒られる。いや、怒られてはないのだけど……良かれと思っていたのに良くなかったのかな、と思うことがある。
夕方、上司から、きつい言い方してごめんね、と言われて
(その人もまったく悪くないのだが)
突然号泣してしまう。

16日
朝は一時間休みをもらう。
が、朝からまた色々あって、仕方ないと思いながらもどうしても気持ちの整理がつけられない。
その結果、一日のうち3回くらい職場で号泣してしまう。
こんなことが前の職場でも一度あって、また同じようになってしまった、と深く沈んだ。
先輩が話を聞いてくれて(言い逃れできないほど泣いているのを見られてしまった)
「嫌いなやつの顔を殴り続けて生きていくんだ」みたいな訓告をもらう。もちろん本当に殴るわけではないけど。
誰も悪くないけど、今回はうまく行かなかった。夜は習い事があって、そこからだんだん元気になった。

17日
もう100メートル走れるくらい元気です、と昨日心配をかけた人たちに謝る。
なんだかこの一週間とても長かった。

夜、電話をかけていたのだけど
沈黙があって、今かけてはいけなかったのかなと思い始めたところから次第に空気が悪くなる。
「私の行動はきみを追い詰めているよね」と、一番言ってはいけないことも言ってしまう。
「気持ちはわかるけど今は疲れている」と返される。その正直さにかえって安心して、今日はお互い疲れているから寝ようと電話を切った。
切ってからまた泣いた。涙の終わりが見えないよ。

18日
朝は練習。昼に帰るはずだったのだが引き止められたりしているうちに、思っていたように予定が動かせなくなる。
「今日の私変かな?」と聞くと、変だねと言われる。
「いつもより余裕がないように見える」とその人は言っていた。

心の中に不安があって、何に不安を感じているかはピンポイントでわかっているのだが、
核心を突いた話や質問をするのが怖い。
聞いてしまうと答えが返ってくる。曖昧にしていた部分がはっきりしてしまうのが怖い。
でももう全部聞いてしまおうと思ってすべてを話す。

それが正解かどうかはわからないけど、気持ちは楽になった。

月見がしたいのと、花火がまだ残っているので花火をできる場所を探すけど、夜に立ち入れる海岸がなかなか見つからない。走って終わった。夜の公園から海を見た。

誰かといるときに最後、離れるのが嫌でいつもだらだらしてしまうんだけど
「自分で約束したことは守ったほうが自分のためにもいいと思う」と言われて、そうだなと思って一日を終わらせる。そう言ってくれる人で嬉しい。

19日
朝は習い事。疲れる。みんな結婚したり子どもができたり、おめでたいニュースを聞く。
人は人、自分は自分。

午後から花火リベンジ。夜の海に行く。
去年の自分に、今の自分の近況を話せばきっと喜ぶと思う。そんな話をする。

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今のままでいられるのは、これからの一週間が最後になる。
この一週間が終われば新しい局面がやってきて、そこを超えたらまた、変わることがあるのだと思う。
どんな風に来週の今を迎えるのか今はまだわからないけど……

20日
今日って本当に休みなのかな?
はらはらしながら過ごす。写真の整理などする。
本棚にあった『砂時計』をなんとなく読み返した。

〈なんで/大切なモノは一つじゃないんだろう〉
(『砂時計』「ー15歳秋・誰そ彼ー」より)

芦原妃名子『砂時計(2)』

このままでいいと思っているのに変化が訪れる場面で、なんで大切なものはひとつじゃないんだろう?(居たい場所を、ひとつのところだけを選べないんだろう)と涙する杏ちゃんをみてしみじみとしたのだった。

なんでこのままでいられないんだろうね。

この頃は悲劇もの(の、上に成り立つ純愛もの)が流行っていて、この物語のなかでも様々な試練が襲いかかるんだけど、
今になって読み返したらただ周りに振り回されるだけの話ではなくて、
杏ちゃんの心の中の戦いが一貫して描かれていたんだなって思いました(感想文)。

感情がコントロールできなくて大切なものを壊してしまったり、自分の中のトラウマに苛まれたり、そういう自分の負の面と向き合っていく物語なんだなーと思った。妥協できたときに、大切なものがこちらを見ていてくれたことに気づける、みたいな。

あと、何回読んでも椎香は可哀想だと思うんだよね……。

お題「我が家の本棚」

対人恐怖

外出先で他人の視線が怖くて(知り合いがいて知られたくない姿を見られたらとか、何かが変で笑われたらとか)顔を隠して歩いている。
通路にたくさんの人がいると怖くて、いつも息を止めて走って去っていく。
ひとりでいるときもそうだし、特に誰かといるときに。

他人が自分に対して興味を失ったり冷たくしてくるとパニックになる。
けれど、いつも褒められたくて構われたくて誰かのいるところに出かけていく。
そして欲求が満たされなかったら、自分のことを置いていかないでって泣きながら相手を責める。
そして向けてくれる相手の優しさが本当の気持ちだとはとても信じられなくて、気を使わないでほしいと突き放す。

これが本当の私なんだと思う。
生きていくうえで、やりづらくなってきた。
素直に気持ちを出せばいいのにできない。
だめだと分かっているのに大切な人に迷惑をかけて傷つけることをしている。

めんどくさいって言われる。言わないあなたはおそらくだいぶ我慢してくれている。

カウンセリング受けたほうがいいですか?と、職場に来てくれるカウンセラーの方に尋ねると、
「カウンセリングで解決することではないかなあ」
と答えられた。

記憶の中に、あれが契機かなと思うことがひとつあるけど、でもそのずっと前から自分に自信はなかった。


11日
王将を食べた。
大切な人の前で大泣きする。だめだめと思うけど、泣くのを止められなくて、救急車呼んでほしいとさえ思う。
何もひどいことはされていないし、とても優しくしてくれるのに、何が足りないのかわからない。

「他人と一緒にいるの苦しい」と言ってしまう。

「苦しいの悲しい」と相手は返してくれたけど、とてもひどいことを言ってしまった、と思う。
でもこれが本当の私だし、病院に行かないといけないのは世の中の他の誰かじゃなくて私の方だよ、とも思った。


12日
一時間くらい歩く。コスモスがきれいで立ち止まる。足が真っ赤になっている。
とても落ち込む。
もうだめかもしれない。また、昔みたいにどん底になってしまうのかもしれない。
迷惑をかけた人にごめんなさいというと、理由を聞かせてほしいと言われる。
「理由を聞かないと味方にもなれないから」と言われる。

何を思っても、最後に不安だと思ってしまう。
安心がほしい。
安心を得るために、ただずっとかまっていてほしい。

私の本音はこうなんだけど、それを告げるのが怖い。離れていかないでほしい。


13日
家に帰ると何をしていいのか分からなくなる。

14日
冒頭のことを、職場に来てくれるカウンセラーの先生に話す。
前も同じようなことで相談した。

涙が出るのは不安があるから。
他のことで気を紛らわせられないのは、やはり対人に強い思いがあるから。
そして今の状態は、自分にとっての安心がない。だから不安になる。
不安が発生するのは、対人関係で何らかの「傷つき」を受けた体験があるのでは?
身近な人を傷つける(困らせる)のは、身近な存在から傷つけられた体験があるから。身近な存在からされたことを、無意識のうちに別の身近な人に行ってしまう場合がある。

必ずではないが、そうした理由もあるのでは、という話になる。


傷つけてはいけないと思いながら、知らずのうちに傷つけようとしている。な、と最近思うことが何回かあった。


解決は難しいが、他人に傷つけられれば自分も他人を傷つけてしまうように、
逆に、優しくされたことを身近な人に返すこともある。
そういうふうに話は終わった。

まだ本当のことをすべて言えないし、明日は憂鬱な案件がひとつある。
普通に怖いけど、でも大切な人を手放すことはできないんだよ。


〈つまり、ただひとりの人にしか何も話したくないということ。〉
(『サガンの言葉』より)

山口路子『サガンの言葉』


『冷たい水の中の小さな太陽』に載っている言葉らしい。

したから作戦

8日
雨が降っていたのだけど、気圧のせいか帰宅後に頭痛と吐き気で動けなくなる。

9日
バームロールの袋を買う。7本のうち4本人にあげた。私も人からのバームロールほしい。
夜は久しぶりの夜練。体力落ちてる。

10日
仲の良い先輩と久しぶりに話して近況報告する。下から作戦の話をされた。
あと、習い事の話を職場でしたら、ちょっとやってみたいという人がいたので休憩時間にちょこっとだけレクチャーする。新鮮だったし嬉しかった。

別の人と、帰りがけに会ったときにおしゃべりする。
夏は終わりよ〜みたいな話をしていたら「おすすめの季節は二回あります。夏と、冬!」って言われる。
なんか、自分の中では終わったと思っていたことが、まだ終わってなかったのかも……というような気持ちになった。わかる?

夜は靴下を買いに行く。

〈家は、人が住むのを止めるつもりでいることを敏感に察知するものだと知ったのはその時だと思う。(略)……床は「裏切った」人間がその上を歩くのを嫌がっているように冷たくなるのだった。人の住まない家は荒れるとよく言われるが、家は荒れる前にその体温を下げるのである。〉

鷺沢萠『町へ出よ、キスをしよう』収録「最後の引っ越し」より引用)

鷺沢萠好きなんだけど、彼女の死因が自死でなければこんなに惹かれていないかもしれない。けれどさらりとした端正な文章はやはり好き。
これって真木柱みたいだよね、こういうの好きなんだよね。語らぬものに心を見ること。

春と夏の終わり・鳥を埋める

〈コミュニケーションというのは、要するに、何かと何かを取り替えることです。(中略)欲望がもっとも亢進するのは、そこで取り替えられつつあるものの意味や価値がよくわからないときなのです。〉

内田樹『先生はえらい』より引用)


4日
朝は練習。午後になると、早く次の日の朝が来ればいいのにと思う。夜は何をしたらいいのかいつもわからない。

5日
待っている自分に何回も気づいてしまう。そしたらふいに連絡がきた。
重たい荷物が肩からすべり落ちていくように安心した。
ストレートな言葉で戸惑ったけど、とても嬉しかった。生姜焼き食べた。

6日
ひとりで仕事していると、自分は何のために生きているんだろうという気持ちになる。
今、体調も良くないしナイーブになっているのかもしれない。

雑貨屋さんに行く。

「最近どうですか?」
「私は普通の人間になっちゃいました」
「前は何だったんですか」
「転がる石と呼ばれていました」
「じゃあ、今のほうが良いんじゃないですか」

こんな会話をした。そう、今のほうがずっといいの。
気候に秋を感じる。好きな季節だけど去年は大切なものを失った秋だ。少し緊張する。

7日
出勤すると鳥が死んでいて、埋めた。
生き物を埋めるのって初めてかもしれない。思うように土は掘れない。

よく色んな所にいますね、と、言われるたびに苦しい。私がかまってほしくてうろうろしているのが見透かされている。年齢と寂しさのバランスが合わないし、寂しさとひとりになりたい気分のバランスもとれない。

夜はとっても嬉しいことがあった。自分が書いたものが、久しぶりに人の目にふれた。
春に書いた話だったから、春のころの日記を読み返した。春の自分センチメンタルすぎるよ。
私は好きな人のことを言葉にしたいらしい。自分に詩情を与えてくれる存在は、すなわち好きな人ということなのかも。

私がミューズと読んでいた友人はどこかに消えてしまったし、春に書いた話に出てくる人たちもみんな今では距離が変わった。
自分が書いたものを読み返すたび、過去の日記を開くたび、もう戻れない関係がそこには褪せずに残されていて切ない気持ちになる。けれど、だから言葉にして残しておきたくなるんだろうな、とも思う。
春と同じく、夏ももう私の中では終わった。
この夏の思い出。
ひまわり、アイス、認知心理学。花火と海、ぷよぷよ。道を間違えたドライブ。お腹の痛くなったお好み焼き。

ひとりの時間が増えるから、秋はまた小説書こう。



内田樹『先生はえらい』

実家に戻ったとき回収した本。昔バイトしてたところの店長がくれた本。なにも考えず読み返したら、おそろしいほど良かったわ。
対話を始めたばかりのころが、人間の関係では一番楽しい。
そう感じた出来事があった。
わからないものを差し出したら知らないものを与えられる、そういうころが一番近づきたくて楽しい。
でもそこからそのままではいられないのだと、私はこの春と夏でまた学んだよ。

〈コミュニケーションを駆動しているのは、たしかに「理解し合いたい」という欲望なのです。でも、対話は理解に達すると終わってしまう。だから……(略)〉
(『先生はえらい』より)