本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆっくりねじ巻くオルゴール

〈五月は好い月、花の月、芽の月、香の月、色の月、(略)/女の服のかろがろと/薄くなる月〉 (与謝野晶子「五月礼讃」より)青空文庫で読みました。今日から梅雨だと教えてもらう。雨のち晴れで、風が気持ちよかった。 今日で五月も、のんびりした時間も終わ…

またもや赤い部屋

晴れた真昼、走ってお店の中に入ると、赤い壁(こんな色)の六畳くらいの小部屋が私を待っている。部屋の真ん中には白いテーブルがあり、青色(こんな色)のプリンターが乗せられていて、ただそれだけしか店内にない。店主さんは外出しているらしい。 内装は全然…

青文字系と秘密の対価。

「大切な話は金曜日にするのが良いって言うじゃないですか」今日の私は焦っていた。 「ほう?」 「辞職話とか、別れ話とかは、週末にして土日を挟むのがいいって」 だから行きずりに愚痴をこぼしてくれた人にもこんな相談を返してしまっていた。 簡単に言う…

檸檬をもらうような日

出掛ける直前になって、とつぜん決めていた服を止めて真っ黒い服に着替える。 黒いけど、駄目だめだった月曜と火曜よりやる気は大丈夫。晴れてるし。なんとなく靴もいつもと変えていく。職場の人が、そのスカートいいですね、と言ってくれた(ある人からは魔…

メランコリックしたい

ひとりでこっそり海をみにいく。 というか、ひとりで迷子になっていた先に海がひらけていたのだ。 ガイドブックに載っていないその海は青がすごくきれいだった。 海はとてもいい。やっぱり香川がいい。瀬戸内海の狭さも、海のすぐ反対側が森なのも、まわりの…

悪いふたり

私を追い越していくから、なんとなく背中に「さよなら」と声をかけた。それが昨日の夕方。今日たまたま会ったときに、 「さよならと言われたことに戸惑いました」 と言われた。 「私、さよならというあいさつが好きなので」 「はぁ」 「明るいあいさつが苦手…

あの写真をもう一度見せて。

赤い小物が多いのが私の部屋、向かい側にある人工芝と白Tシャツがあるのが、もと同僚の部屋。 どちらも洗濯物がたくさん干していて、おもちゃ箱のような部屋。 私はその二部屋から永遠に出られない。外で友達を待たせているのに、友達の存在をだんだん忘れて…

傘なんかつかわない

晴れなのか雨なのか、朝のうちにはわからなかった。 職場から必要な電話を取引先にかけたとき、業務連絡を淡々と話しながら、いま話している相手の声がある人に似てるなあと思う。あの人はこの会社だからあり得るよねとも思うけど受話器の向こうに確認する気…

ソーダアイス・忘れる

朝、母から電話がある。一時間半くらいの通話時間のなかで私は五回くらいしか言葉を発していない。タオルケットの中に電話をくるんでおくと、ばれてしまったらしい。ごまかす。 電話のあとすべてを忘れたくてスープカレーをつくる。ピーマンと細く切ったたけ…

芸術はいいわけ

きのうの夜中にとある本をめくっていると、君が好きだと言っていた思想家の名前が何度も出てきた。 もう何度も読んできた本なのに今までは気がつかなかった。というか、意識がその名前に向いていなかったらしい。君が教えてくれたからだと思うと、本を読んで…