28日
君が悪いってみんな言うね。
夜、怖くて部屋の電気が点けられない。真っ暗闇の布団のうえでずっと怖がっている。
やはり、私は私が嫌い。
〈「吐月峰におなり」と云えば直ちに畏まって口を開く。〉
(谷崎潤一郎「少年」より)
自分の家の敷地でだけ、ひどく加虐的になる少年。その少年の残酷な遊びに感化される友人たち。そしてその少年たちに、ひたすら虐げられる少年の異母姉。
彼らは度を超えた戯れを続けていくが、ある日、謎の館に入ったときから、すべての関係性が逆転する……。
お姉ちゃんのことを虐めまくっていたらお姉ちゃんに虐められまくる話。
吐月峰(はいふき)は灰皿のことだという。
報いでも呪いでも、文学の世界はそれでも全てが美しい。現実では全てが怖いし全てが誰かのせいになる。
だから怖くて部屋の電気も点けられないまま怯えている。早く明日になって、早く秋になって。
漫画版、古屋兎丸が描いてるらしい。
「少年」の青空文庫はこちらから。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/56643_58931.html