もっと早く出逢えていたら良かったのに、と思う人がいる。
大切だと思う瞬間があるほど、その感情は姿を鮮明にする。
これから長い月日があるとしても、それはこれからの私でしか過ごせない。私はもう二十代ではないし、今はもう出来なくなったことや諦めたこともそれなりにある。
もっと若いときの私であなたと過ごしてみたかったし、瑞々しかった日々を一緒に生きて色んなことをしてみたかった。飽きるほど長く過ごしてみ、たかったなって、思う。
昔の破天荒な嵐が過ぎ去った、今の私として知り合えて良かった。今だからこそ良かった、と思う気持ちが基本としてはある。
たぶん昔の私だとだめだった。とは思っても、それでも時々、もっと早くに知りたかったと願ってやまない。
26日
朝は練習、夜も練習。先輩がドリンクとお菓子くれる。
昼間はすきまをぬって街に出てみる。
夜、ツール・ド・フランスを観ながらアルバムづくり(友人にあげる用)。
こういうなんでもない時間を、なんでもなく過ごせていることが嬉しいとしみじみ思った。
27日
仕事関連の講習を受ける。
「青春」は子どもにも大人にもあるんだって。
20時になっても空が明るい。大丈夫か?
日が長いから、なかなか夜だと気づかない。
最近日記書いてない。忙しいのかもしれない。
余裕がない。大丈夫かなこれから、色々不安。
夜、習い事の先生から連絡がくる。
練習はしたい、でもそれ以上のことに取り組む心の余裕がいまはない。
先生からは「練習は続けてくださいね」と来たのでほっとした。
さらりとした出来事だったけど、長い習い事人生のなかの一つの区切りがついてしまったような気がした。今後はもう声がかからないだろう。
果たせなかった目標、果たせていない目標、どちらもあるけど、終わりではないので。
若いころから出逢っていても叶わないこともたくさんあったなって思った。
〈自分自身の時代に地層を増やしていくような、おばあちゃんになったときに、ようやく完成するような生活空間を作りたいと思っています〉
(『ONKUL』菊池亜希子インタビューより)
『ONKUL 2021 SPRING & SUMMER ISSUE 特集:かっこいい大人、になるために。』