8日
家族、元気がない。訊きたい私と放っておいてほしい彼とで気まずくなる。半分喧嘩。
9日
「ひどい顔していますよ」と朝、先輩に言われた。
別の先輩と、実は十年以上前に知り合っていたのかもしれない。ということに気づく。お互いに気づく。今度写真を見せあって答え合わせをする約束をした。
さらに別の先輩に、愚痴をきいてもらう。久しぶりに職場で涙……大丈夫か?
10日
主人とカフェで読書(このことを我々は読書デートと呼んでいる。デートではないが…)。こういう時間を作ると、本が読めるようになる。
原民喜の『夏の花』を再読。先日、こうの史代の『この世界の片隅に』を読み直して、こちらも読み返したくなったのだ。戦争のことは考えるだけで恐ろしいのだが、時折、何となしに振り返って、書物を読んでしまう。死ぬのが怖い、死んでいたのが怖い。
原民喜『夏の花』は、とても淡々とその日のことが描かれている。どうしてこんなに冷静なのだろうか、それとも、乖離して書いているのだろうか。生き延びたから書かなければならない、というように、本には書いてあった。
そして原民喜は死んでしまった。
昼下がりのカフェで絶望を味わった後、気を取り直して島本理生の『憐憫』を読む。(感想は一番最後に。)
夜はキムチチャーハンを作る。食後、突然気分が悪くなる。ここから全てが狂っていくのだった……。
11日
朝から体調不良。
昼過ぎ、実家に戻って母と話す。母と主人とで昼食を取る。ファミレスで、ぞうすいを食べる。その後、母を送り、買い物をして帰宅、そして寝込んだ。夕食がほとんど食べられなかった。
12日
胃の気持ち悪さが取れないので、昼過ぎ、内科を受診する。胃腸に大きな問題はないが、胆嚢にポリープがあるらしい。おいおい。先生はいい人だと思う。
職場の先輩と話す。どんな人にも新人の頃があるのだと思った。
仕事を手伝ったら猿田彦珈琲を頂いた。飲めるのはいつになるのだろう(おなかが痛いので)。
仕事はなんだかうまく回らない。うまくいかないことは無いのだが、うまく回せない。他人と助け合えない。ひとりずもう。
家に帰ると安心する。
しかし体調が思わしくない。怖い。
〈こわいことを思い出すことができて、こわいと言えるのは、こわくないときだけなのだ。〉
(島本理生『憐憫』より)
ずっと積んでいて、やっと読んだ本。
元子役、今は冴えない女優の沙良。ある飲み会の場で、柏木と名乗る男と知り合い、自分のことを何も知らない(知ろうとしない)彼と逢瀬を重ねていくようになり……。
あなたは私を知っているということを私は知っているということをあなたはわかっている、みたいな言い回しが、ちょっと村上春樹みたいだった。
というか、純文学らしい物語だったと思う。
以下、抽象的に展開に触れます。
彼女の小説はいつも、傷ついて、彼を手放して、そのあと彼のことを思い出して傷ついて、という終わりをするように思う。私たちは彼女の紡ぐ話を読みながら同じように傷ついて、救いを求めるのだけど、ああまた忘れられなかった……というループを味わっているような心地になる。
今回も、その痛みを想像しながら読んでいたが、終盤で突如関係が終わった。
傷つきすぎることもできないほど大人になってしまった……のかなと思った。それは沙良なのか、島本さんがなのかは、わからないが。
柏木という名前がいいよ。源氏物語みたいで。
今週のお題「読みたい本」