本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

誰にも言わないわたしの破裂

21日
部屋の電気が点けられなくなる。
電気が点かないのではなく、点けることができなかった。窓の外が暗くなっても、液晶画面以外のものが薄暗くて見えなくなっても、立ち上がる気持ちになれなくて、ずっと寝そべっていた。布団の上でひたすら時が流れていく。怖くなって、人に電話をかけた。
電気がつけられないよ。本当はしたいことがあったのにできない、できないまま時が流れていく、わけもないけど怖い。みたいなことをぼんやり話した。

出来ないことはしなくていい、と言われると思っていた。普段ならそう言うはず。でも、電話の向こうから返ってきたのは「うーん、でも、あなたは出来ると思う」という言葉だった。
予想とは違っていたけど、苦しくはならなかった。これはあとから思ったことだが、あそこで信じてくれたことが嬉しかった。

22日
練習。出来なくてへこんだ。

23日
練習。暑かった、10年以上ぶりに、小さい頃一緒に習い事をしていた先輩に会って嬉しかった。

24日
夜、カツを食べる。ひどく汗をかいていたので、ぽかぽか温泉へ行く。思っていたよりも落ち着いた空間だった。休憩所ではトイ・ストーリーが流れていて、遊んでいる子どもたちの中に座って眺めていた。

25日
朝、練習。昼ご飯はスープカレー。実家に一度寄って、家族と話す。夜、練習。一番(気持ち的に)つらい練習を終えてほっとした。先生が特別に練習をつけてくれた。
ほっとしすぎて、帰りにラーメン食べた。

26日
朝、家族で栗林公園へ。ストレスなのか入園前は謎にお腹が痛くなった。
栗林公園は子どもの頃行ったきりだったので、何も覚えていなかったがすごく美しくてびっくりした。
掬月亭で冷たいお抹茶を飲む。おいしい。

少し散歩して、家族と解散した。大切なみんなで集まれて嬉しかった。
家族が私のことを、「ときどき大胆」と表現していた。別れたあと、父から「楽しく嬉しく過ごしてくださいね」と連絡がきた。
お土産屋さんでうどんキーホルダー買ってもらった。
昼ご飯、デュースでお弁当を買い、家で食べる。安心して気が抜けたのか、気圧のせいか、親知らずが超激痛。薬を飲んで横になった。
薬が効いてくると落ち着いて、少しのんびり昼寝した。買い物に行き、お風呂に入って夜ご飯を作った。

狭い部屋で、閉じられた空間にいることが心地よくて、いつまでもこの時間が続けばいいのにと考える。
私は人生で今が一番幸せだと思う。
若くて、自由で、自分のための時間があって、仕事も楽しくて、いつまでもこの幸せが続けばいいのにと思う。
何も変わらなければ幸せであり続けられる気もするし、いつまでもこのままでは進めない気もする。
私は進むことを選んだ。
後悔していないけど、この閉じられた空間での幸せが消えてしまうのも寂しい。

27日
頼まれたことばかり仕事でやっていて、疲れる。バタバタと終えて、友人とご飯。近況報告できて良かった。バーベキューの約束をした。
よく遊ぶことを友達と呼ぶなら友達ではないのだが、何も気を遣わなくてすむ素敵な人たちだと思う。

帰ったら、ポストに本が投函されていた。友人が送ってくれたらしく、ハガキが挟まれていた。
人の書いた言葉を読むと、私も文章書かなければ〜!という気持ちになる。
私が、一番最後に書いた物語はどこ?と部屋の中を探し回る。ずっと文章を書いていないよ。
書きたいけれど今ではないのだ。

スマホの中に、今月メモした短歌のようなものが残されていた。

〈振り払われた指先が今も燃えている/誰にも言わないわたしの破裂〉