本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

百合ある書店(逃避行日記)

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私は昔から、一箇所に人が集っている、みたいな状況が苦手で(教室とか)、よく集団を抜け出しては、許される範囲で逃避行をしていた。休み時間も時々ひとりで散歩したり、どこかに消えるような子どもだった。大学生のときも、疲れたときは休養室やスクールカウンセリングの待合室(誰でも入れた)に行き、そこは誰も来ないので、ひとりでぐうぐう眠っていた。
いつも、逃げられる場所にはたいてい本か布団かソファがおいてあった。

そんな逃げられる場所があるのっていいなあ、逃げ場所にいる人になりたい、と思った結果、いまの職場でも一人だけの部屋で働いている。(集団行動に向いていないのもある)

そんな昨日、私の仕事部屋にひとりの人がやってきた。彼は良い意味で合理主義者なので、目的無くだべりに来ることはないような人なんだけど、その日はいつまでたっても会話の目的が見えなくて、なんだろう……と思っていると、こんなふうに言っていた。
「この職場にも、仮眠室とか休める場所があればいいのに」

どうやら彼は、ひと息つきたかったらしい。私はこの言葉をきいて、私が管理している空間も少しは逃げ場所として機能できているのかなと思って、ちょっと嬉しかった。

そして昨日、友人と会ってミューズの話をした。お互いずっと何かを作っていこうね、みたいな。ユースの意味を教えてもらった。

今日は逃避行の日にした。
有給をもらっているので、散歩をしたり、絵を見に行ったり。
死にかけだと思っていた本屋にはじめて行ったら、品揃えがけっこう良くてふつうに楽しかった。
百合の花があった。百合のある書店ってなかなかないよ。

いま、なんとなく気持ちが前に向いていけそうなので、このうちに色々したい。

「評価されたくて描いてるわけじゃないから/自分のために描いてるから」
(星窪朱子『放課後のサロメ(1)』より)

百合ある書店で買ったまんが。ただ絵を描くだけだけど、ふりきれすぎずだんだんギリギリになる速度がいいです。さいきん『げいさい』(会田誠)を読んだのでそれも思いだす。

「命同等の価値が私にはある/それだけわかってればあとはなんも要らん」
(同上より)