28日
残業したところで、作業の精度は落ちる。誰かが褒めてくれることもない。
大切な仕事を早めに終わらせて、さっと帰宅するのがいちばん賢いんだなー。
と、残業しながらため息をついた。そして現実逃避に島本理生を読んだ19時半。
〈だけど膨らみきった、会いたい、は、死にたい、を押しつぶす。〉
島本理生『波打ち際の蛍』より
(あらすじ)
精神科でカウンセリングを受けている麻由は、病院で蛍と名乗る男性に出会う。
惹かれ合っていくふたりだが、想いが深くなるほど、麻由の身体は過去に負った痛みのフラッシュバックを起こして……。
シンプルなラブストーリーかと思いきや、麻由の感情の、あまりのコントロールできてなさに、こちらも色々思い起こしてしまって、心がびりびり痛むのだった。
あと、この島本理生はわりと叙述ミステリみたいで、おおーとなった。
最後の方で蛍が、良くも悪くも自分は普通の男だと麻由に言う場面があるのだが、ちょっと突き放してるみたいにも思えたのだった。
傷つけ合う恋はよくない。やめよう。でも毒を食べたくなるように、傷口のなかに宝石を見るように、絶望の美しさに焦がれてしまうのは我々の悪い生き方なのだろう。
〈同じところまで降りてきて。あなたの一人を教えて。〉
(同上より)
相手が何をどう、自分のことをどう思っているのかすごく知りたがる気持ちはよくわかる(気がした)。対等を求めてはいけないけど同じくらい愛してほしい。
29日
髪を少し切った。空いてる時間に雑貨屋に行って指輪を買った。夜は電話した。
ひとりで、どう過ごしていいかわからなくなるときないですか?持て余している。
この三日間、金から日はずっとそんな感じだった。
30日
車を見に行った、いまの車ともあと少しでお別れになってしまいそう。すごく寂しい。家族より誰よりも、私のすべてを知る車。それくらい大切な存在。
夜は電話する。もうしばらく、しないと思う。でも日々電話したのは楽しかったよ。
爪をぬりかえる。先週はみどり、今週はアイボリー。なんとなく白っぽい色がいまの気持ちにしっくりくる。