本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

そしてクローズド・サークル

晦日なので実家にいます。
もう今年は日記書かないつもりだったけど……
大学生のころに書いた小説を読んでいたら、登場人物の境遇が今の自分とまったく同じ人生をたどっていてぞっとした。そして年齢も今の自分と同じだった。
もうこの話二度と書けないなって思うような話なのであのころ書いておいてよかった。
ということをちょっと書いておきたかった。

私の実家はど田舎で、雪が降ると車が走れなくなるのですが、雪降ってます。今。
私は今夜のカウコンみたら自分のアパートに帰りたいの。でも雪降ってますね。徒歩圏にお店もない。ああクローズド・サークル。

嵐をみてホロリとした。さみしくなるけどありがとうという思い。

嵐「ALL or NOTHING ver.1.02」

ALL or NOTHING Ver. 1.02

ALL or NOTHING Ver. 1.02

  • J-Pop
  • ¥255

私が好きな嵐の歌。

いろいろあったで大賞2020

今年のまとめ。最後に印象的だった本ベスト3も紹介します……。

はじめに、今年やってよかったことベスト3

1位 引っ越し
(実家から離れてすごく気持ちが楽になった。離れて気づいたが家族だけじゃなくて家という空間そのものも苦手だった。ずっと過ごしていると気持ちが落ちていってしまうというか)

2位 失恋
(そろそろだろうなと感じていたけどずっと怖くて出来なかった。いろいろ大変だったけど仕方ない。)

3位 言葉にして残すこと
(時間ができたので日記や小説や詩歌を例年よりたくさん書いてた。これをすることが自分にとってすごく救いだった。)



1月
人間関係がひろがり、友だちができたり美味しいタピオカ飲んだり好きなお店が増えたりする。仕事も楽しく職場も好きな人ばかりだし、毎日めちゃくちゃ楽しかった。(このころ毎日楽しすぎて、数年ぶりに紙の日記を付けていた。ブログだとぼんやりとしか書けないので)とにかく楽しかった。

2月
うってかわって地獄みたいな瞬間がときどきあった。当時の紙の日記によると、「最近すごく楽しい」と書いた翌日に「地獄みたいな時間だった」と書いてあってうけた。コロナの影響が日常生活にもだんだん出てくるのを感じた。人間関係を変えたかった1月から、やっぱり抜け出せないし変えられなさそうだと思ったのがこのころ。

3月
職場が変わると告げられる!そして引っ越し、大泣き、怒涛の日々。
予知夢をみる。夢の中で会った人と、その目的が数時間後に全く一致して起こる。
時期を同じくして、友人も職場が変わって引っ越しすることに。お別れ会をしていたときに目の前にあった本のタイトルが『波乱へ!!』でうけた。(いま気づいたが、横尾忠則の自伝らしい。)

4月
引っ越す。新しい職場。
〜そして絶望の幕開け〜
自分一人で引っ越しの作業をしていたので、昼間は新しい職場で働き、帰宅後や休日に引っ越し作業をするルーティーンになる。
今だから笑えるけど当時は本当に毎日泣いてた。引っ越し作業があったから気分転換できてた。あと、片付けトントン(ゴミ屋敷を片付ける会社のYou Tube配信)を見て引っ越し作業していた。

5月
仕事やめようかなァ……と数年ぶりに思うほど、新しい職場に絶望する。まだ毎日泣いてた。このころからコロナがいよいよ私の住むあたりにも本格進出してきて、途中で自宅勤務するようになる。
いままでやってた仕事も習い事も自粛ムードになり、時間ができたので小説書いたりこのブログ始めたりする。(体感的にはもっと最近、9月くらいから始めた気分)

6月
自粛がやや、やや落ち着いてくる。このあたりから少しずつ、職場で話せる人も増えてきてなんとなく楽しくなってくる。梨木香歩の『西の魔女が死んだ』を読んだらまったく同じタイミングで、友人も読んでいて、びっくりした。本はすごい。
あと、海辺で恋の話などする。空さえも情緒不安定だった。

7月
わりと暗黒。私が思ってるだけかもしれないけどトラブルが起きる。そしてよくない沼から抜け出せないループ。沼だけどこの頃は楽しかった、それが終わりの始まりだったんだ。

8月
時間的には余裕があったらしく、個展などよく観に行っていた。お盆の頃は久しぶりに夏休みらしい夏休みをすごす。おうちでジブリ観てた。

9月
暗黒暗黒!しばらくへこんだ私であった。
仕事はがんばってたと思う。気を使うのをやめて、自分らしくやってまえ!と振り切れたのがこのあたり。だから仕事はこのへんから楽になってきた。

10月
〜ほんとうの絶望のはじまり〜
体調が急にどんどん悪くなる。その他トラブルも発生して、つらいことも続き、職場の先輩(夏くらいから仲良くなった)に突然「一緒に飛び降りましょう」と声をかけた思い出(ごめん)。さすがの先輩も「どういうこと!?」って言ってた。
今まで避けてたことが立て続けに起こった日々だった。この頃書いてた文章も地獄みたいだった。

11月
すごく忙しかった。土日がなかった。
ただ、地獄は少し熱をひそめて、新しいターンはじまる!という感じでもあった。
職場にはある程度慣れて、話せる人もたくさんできたし、その点でのストレスは減りました。
携帯電話の機種変更をする。愛着があったしいい子だったので、私にしては珍しく3年を超えて使った。それでも壊れなかった。おつかれさま。

12月
いろいろあったな〜と思うくらいには、落ち着いた日々。よいお年を!



今年印象的だった本ベスト3

1位 西加奈子『白いしるし』

白いしるし (新潮文庫)

白いしるし (新潮文庫)

好きすぎると壊れていく、のきわみのような本。タイミングが良かったからか読みながらびっくりするほど泣いてた。読む前もおそらく泣いていた。

2位 凪良ゆう『流浪の月』

流浪の月

流浪の月

なんかすごいものを読んでしまった、と純粋に思った本。自分が望む関係と、周りの望む関係とが一致していないままなのが良かった。

3位 村上春樹国境の南、太陽の西

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

知ってから数年経って今年読んだ。今年読んで大正解だった。お仕事頑張ろうと思った。
この物語や主人公の心情を理解できないという人もいるだろうなと思うけど、私の心にはちょうど良かった。

番外編
幡野広志『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』

ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。

ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。

すべてに共感するわけではないけど、今年読んだ中では、なんとなく忘れられない本。

島本理生『ファーストラヴ』

ファーストラヴ (文春文庫)

ファーストラヴ (文春文庫)

最後のページまで読んだあと、島本さんも大人になったんだなと感慨深いものがあった。

ナチュラルに擬態したロマンス

仕事おさめ。昼から晴れていい気候。
しかし、朝から職場ですごく嫌なことをされる。すごく失礼なこと。むかつく。
機嫌斜めに歩いていると、先輩とすれ違う。そのまま話を聞いてもらう。仕事の悩み、今年のまとめ、去年の思い出、恋の話、演劇の話など。
去り際、「あなたが居てくれて良かった」と言ってくれる。Me too,so much! と返事をする(I think so,too! は思い浮かばない語彙力)。
来年の抱負として、素敵な三十代になる。と言ってみる。来年のことを考えられるだけ例年よりポジティブ。

昼は別の先輩がお話してくれる。ロマンスについて。私は、以前職場で年下の女の子から「あなたはナチュラルに擬態したロマンスです」と評されたことがあり、その話などする。
先輩が最後に「あなたは最強」と言ってくれる。それが褒め言葉でも褒め言葉でなくても、どちらでも嬉しい。この人がそう表してくれたことがとても嬉しい。

朝は最悪だったけど、お世話をしてもらって気持ちがしだいに優しくなる。人に恵まれている。


〈でも、本当はどこかで「もっとフラットに恋の話がしたい」と思っていて、そのことに気づいたのは最近。〉
(POPEYE 1月号より)

『POPEYE 2021年1月号 ガールフレンド。女の子って、どうしたら喜んでくれるんだろう?』

この特集を見ると買ってしまう。そのへんの女性誌より可愛いんだよなあ。
色々なお店の写真を眺めながら、去年、東京で遊んだの楽しかったなー。と思い出す。おもしろい店はたとえばそこが香川県にあれば「おしゃれな特別な空間」になってしまうんだけど、東京にあるから「街並みの中のひとつの景色」として目立たなくて、誰も関心を抱かず通り過ぎていって、窓の外にはつまんない都会の雑踏があって、そういうのがよかった。旅行の代わりに雑誌で東京。
うちにあってまだ読んでいない気になる本も載っていて、この機会に明日から読んでみよう(かな)。

きみが教えてくれたのは

洗車のやりかたと、レッチリの歌だけ。
だけじゃないけど、安全に思い出せるのはそこだけ。You Tubeでも聴きながら作業しようかな、と思って、前に使っていた携帯電話の電源を入れた。触っていると、その当時届いていた言葉や着信がそのまま残っていて、それらを見ていると心がざわざわする。これは危険だなって思ってそっと電源を落とした。去って間もない思い出は、死んで間もない死体みたいですごく危ない。まださわれない。機種変更してて本当に良かった。

金曜日
職場の素敵なひとから、秘密を教えてもらう。それを想像するとすごく蠱惑的で良い。
「クリスマスだよ」と可愛い女の子に言われる。そっか、と返す。この日はあんまり元気じゃなかった(体調が)。

土曜日
練習おさめ。朝から16時まで!がんばるとすっきり終われるのでがんばる。年末年始、ゆっくりしたい。

日曜日
前の職場の同期の子(年下)が話しませんかと誘ってくれる。ときどき現状報告をし合ってよく笑う。もう3年くらいの付き合いになる。3年にもなるのに一度も安定したことないですね、私たち。と言われる。確かにそう。

自分にとって重要な誰かが、突然いなくなることが耐えられない、ということを話した。
どの記憶も嫌いになったわけじゃなくて、ただどれも、私のことがひとつも重要なことじゃないみたいにさっと消えてしまったことが嫌。だし、そういうのにもう疲れた。
夕方は洗車する。もしかしたら家族よりもこの車のほうが私のことを知っているかも。

話が飛ぶけど、昨日から掌に棘が刺さっていて、今日その(同期の)女の子のおうちに行って棘を抜いてもらった。それだけのことなんだけど、なんか不思議な気持ちになった。

「何かを好きになると、必ずそれがなくなってしまう。大切なものは、みんな消えてしまう。」
佐藤多佳子『黄色い目の魚』より)

黄色い目の魚 (新潮文庫)

黄色い目の魚 (新潮文庫)

この台詞、節目節目で思い出す。そして栞の紐も、この言葉があるページにはさまっていた。

汚れた夢/イブは雨

「これは、なんの本?」と若い女の子に尋ねたら、「読んでみますか?」と微笑まれ、思わずうなずいてしまった。

生命式

「いつか、一緒に気絶しようね」
村田沙耶香『生命式』収録「大きな星の時間」より)

短編集。村田さんの本を読むのは初めて。人肉とか生殖とか、なんだろう、ぬるぬるしてる。綺麗な気持ち悪さ。今朝、(物理的に)汚れる夢を見たのでちょうどいいかも。という気持ち。
引用した部分が載っている話は、すごく短い物語なんだけど、一番好き。短すぎると綺麗なものしか目立たなくなるんだけど、私はそれが好きなのかもしれない。余計なものが削がれているのも。
一番最後に載っている「孵化」という話の、この部分も好き。

「(略)……綺麗なものが本質だと、落ち着かないのよ」
「へんなの」

村田沙耶香「孵化」より)

書いていて思い出したけど、彼女は夏の前くらいに、本を読むの恥ずかしいと言っていた気がする。でも今は、微笑んで本を渡してくれた。彼女のなかでなにか、時が流れたのかな。

職場に来てくれた本屋さんにメリークリスマス、とおやつをあげると、
「僕、今日が誕生日なんです」
と言われた。おめでとうございます。

お昼は、時間をずらして誰もいないところでお昼を食べる。小雨が冷たいけど、それが人を散らすしひっそりとした雰囲気を高めていていい。

夕方、久しぶりに会う人にチョコレートを渡した。
帰りに、上司のひとと『スタンド・バイ・ミー』の話題になって、原題が『THE BODY』ということを話していると、通りがかった先輩が
「海(うみ)行(ゆ)かば水漬く(みづく)屍(かばね)、山(やま)行(ゆ)かば草生す(くさむす)屍(かばね)」と口ずさむ。
「BODY」が「死体」をあらわすように、「かばね」も「しかばね」のことなんやで、と言うことを教えてくれたらしい。

夜はお世話になっている、習い事の先生たちと会う。何かいい報告ができるといいな。そのうち。