本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

蝶々の目的

16日

沈黙が気まずくて、「気まずかったです」と素直に伝えてみた。貝の話、花の話をすると、「繊細なんですね」と言われた。考えなくてもいいことまで考えてしまう性質がある。

誰であっても、自分との間で交わされた言葉や行為にどんな意図があるのか常に教えてほしい。そういう、答えが気になって仕方ないところは自分の昔から変わっていない良くない癖だと思う。私が意味を見出そうとするように、意味を持たない人だっているはずなのに。

 

17日

朝は練習。午後は観音寺へ出かける。海を見て、銭湯に入る。風が冷たい。久しぶりにゆっくり過ごした。

夫の日記を見せてもらった。文章書く何かをもっとすれば良いのに、と思ったりする。彼は私よりずっと文才がある。余談だが、彼のお父さんも素敵な文体である。

 

18日

マッサージを受ける。普段あんまり運動しないんですか?と聞かれる。そうでもないと思うのだが……。

 

19日

朝から仕事でばたつく、最近あまり一息つく暇が無い。心が落ち着かない。

部屋の中で、いつまでも来ないものを待っている気がする。いまの職場に慣れすぎて、昔のことを考えて懐かしんだりしている。

夜は書店に行きたくてそっと街へ出てみるが、(行きたい)どの本屋も閉まっていた。家にすべての安心と安全が在るようになってから、私は孤独ではなくなった。でも、社会的には孤立しているような気もして、たまに繋がりが欲しくなる。

夫もこの前同じようなことを言っていたのであながち的はずれなことではないのかもしれない。

「家以外のコミュニティを持ったほうが良いのかと、ときどき思う」というようなことを彼は言っていた。

 

知人ではないけれど決して他人ではない

 

黒井千次『春の道標』より引用)

 

 

少しずつ読んでいる。少しずつというか、齧るように、わかるところだけ。