本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

距離をとる/所見

10日

行事の日。私のしたことについて、色々な人が応援してくれたり喜んでくれて嬉しかった。私のことを見てくれてありがとう。

夜は、先輩たちとご飯。結婚のお祝いも兼ねる。

 

12日

ある人が、昨日は調子が悪かった……と話してくれた。帰宅してから涙が止まらなくなったそうだ。

 

座ろうと思っていた椅子の隣に、人が座ってきて、はじめから座っていなかったふりをしてそっと離れた。そこに座ってもいいけど、私のパーソナルスペースとしては近すぎた。距離をとる。不自然でなくなるところまで。

 

距離をとるといえば、ここ最近、少し疎遠になった相手がいる。原因はあって、どちらも悪いしどちらも悪くない、齟齬があって、私の捉え方が悪くて、相手の伝え方も悪かった、しかしお互いに敵意はない、しかし……という感じで膠着していた。私だけが苛々していた。そして、関わることを中断した。

対面すると、あれこれ考えて感情的になってしまうような気がした。関わらなければ平和なことは確かなのだが、その冷却期間を置いてひとつわかったのは、(距離をとることで)心の状態はかえって悪化するということ。

素直に言うと、関わりたくないなんてことはなくて、もとの関係に戻りたかった。

(なんだかあやしい表現になったが、後ろめたいことでは全く無くて、事務的な連絡の中で齟齬が発生していただけである。)

でも手放しでそうなる(戻す)ことは私にはできなくて、そのステップを踏むためには一度きちんと話す場をとりたかった。

それが難しくて、ずっと立ち止まっている。これをまざまざと実感させられるような瞬間もあり、この日は落ち込んだ。

調子が悪かった、と言っていた人のことを思い出す。私も同じだったよ。

 

13日

悪意がないと知っているけど、つらくなった。というようなことを話してくれる人がいた。

 

別件で、年下の子に話しかけられる。人間関係で気まずくなったらしい。

「時間が経つほどつらくなるから、早く手を打ったほうがいい」と自分で言って特大ブーメランになり心が痛んだ。

しばらくしてその子から、話し合って解決できたという話を聞いた。お互いに勇気が要っただろうな。

自分もいつまでも、このままではいけない……と思いながら、時が過ぎていく。

夜、そのタイミングがあった。第一声は思ったより自然なトーンで自分の口から出てきて、やっと話をすることができた。

自分の感情だけを伝えることが正しいとは思わない。ただ、何を思ってどうなったのか、なぜそうなったのか、という過程を伝えることは、しておいたほうがいいような気がした。誠実さを持つという点で。

全然上手く伝えられず、悲しかった。でも話す前よりは、ずっと心が軽くなった。

 

この一件で感情がふわふわとして、帰宅したあともうまく心のバランスが取れなかった。

夫にもずっと相談していた案件だったので、今日あったことを報告した。でもその会話の中で涙が止まらなくなった。夫の冗談が、妙に心にひっかかって苦しくなった。彼が私を悲しませる意思がないことはわかっている。けど、今日はそれをうまく処理できない。

他者の何気ない言葉が重りのように沈んでくるときがあって、私はまた、誰かの言葉を思い出した。

悪意がないと知っているけど、つらくなった。という言葉。

やっぱり私も同じだった。

「私は、1が100であるかのように思えるときがあるよ」と言って、私の悪いところを言葉にしてほしい、と夫に尋ねた。

「だいたい君が思っているままだと思う。でもそれを直すことが必要だとは、僕は思わない」と答えられた。

直す必要があると、私が判断するのなら改善していけばいいと言っていた。

夫はこういうとき淡々と話してくれる。私にはそれがとてもありがたかった。

 

ふいに、自分は少し疲れているのかもしれないと思った。ここ数日、色々な心の流れを人から聞いて、感情が引っ張られている部分があるのかもしれない。

 

14日

起きたらすっきりしていた。良い方に少しずつ変化していけばいいな。

仕事部屋に先輩が来てくれる。

作業を人に見られる。見られることはとても苦手で、行動もぎこちなくなる。評価を受けた。

夜は習い事の練習、ここ最近、練習で家を空けすぎて家庭内不和が起きそう。というわけで一時間早く帰った。

 

他者と上手に距離をとりたい。ベターなところを探りたい。でも嘘はつきたくないし向き合いたい。他者との関係は難しい。

 

『visual experiments lain ビジュアルエクスペリメンツレイン』

夫が買ってくれた。90年代感モリモリで楽しい一冊。

清水香里さん、今見ても可愛かった。まだ幼いのに色々な写真を撮られていて時代を感じた。またじっくり読みたい。

 

黒井千次の『春の道標』という話のことを教えてもらった。林檎を二人で齧る話、教えてくれた人は気持ち悪いと言っていたが、私はそういうの好きだ。

同じ果物を食べる行為って、アダムとイヴみたいな雰囲気もある。