本のある日記

本のある日記

日記・その時にあてはまる本・ことば・音楽。

キャラメルラテが甘すぎる


「だって、何者か決められちゃったら、ずっとそれに縛られるんだよ。結婚したら既婚者、出産したら母親。レールに沿って生きたら、どんどん何者かにされちゃうのが、現代じゃん。だから、何者でもないうちだけだよ、何してもイイ時期なんて」

(カツセマサヒコ『明け方の若者たち』より)

あらすじ
「僕」は飲み会の席で、「携帯電話が見あたらないからかけてくれないか」と隣にいた見知らぬ女性に頼まれる。そうして出逢った「彼女」と飲み会を抜け出し、公園でふたりだけの二次会をすることに。
その日から「僕」は「彼女」と、沼とも呼べるような恋に落ちていく。
いっぽうで大学を卒業し就職した「僕」は、現実とは違う、クリエイティブな未来を夢見て日々の業務をこなし、同じ夢を持つ仲間にも出会う。
だが、夢は夢のまま。そして「彼女」ともしだいに連絡がとれなくなり……。
うつりゆく二十代の日々をリアルに、そして繊細に描く恋愛小説。

一言でいうと「若い」を体現する小説。
現実の名前(店名やアーティスト名)がたくさん出てくる。いま、二十代後半の人が読めば心が痛くなりそう。
とりあえず序盤はひたすら痛い。生活感がそのへんの若者そのままという感じ。生々しい。情感たっぷり、いわゆる「エモく」書かれているのだけど、むしろキモい。
でもなんだか気になって読み進めてしまう。このへんで出てくるヴィレヴァンの描写が良い。

フジロックのくだりで物語は一度ピークを迎えて、主人公の仕事が2年目に入ったあたりからなんだか温度が変わってくる。そこから途中であっ……となって、こうなったら最後まで読んでしまう。ちなみに章題もすごくエモキモい。この感じが嫌いな人はとことん無理かもしれないけど、でもこの感覚のまま一冊書き通しているのはすごく良いと思う。

主人公は、何かになりたがっている。キラキラしたものを創作していく誰か。だからこそ選ばれない、ただなんとなく日々をこなしていかなくてはいけない描写がさかむけみたいにじわじわ痛い。

〈「一緒にいたいね」と告げると「そうだね」と返してくれる。その言葉の軽さを恨んだ。好きだと伝えて返してほしい言葉は「ありがと」じゃなくて「私も」だったのに〉
(同上より引用)

沼みたいな恋は割とどこにでもあると思っているので、沼みたいな恋に溺れている人は読むとつらいけど共感するので慰められるかもしれない。沼具合はうまく再現されている。期待している答えはだいたい返ってこないよね。そうだね……。

あと、主人公が都会でずっと育ってきて、地方の暮らしはまた全く都会とは違うようだ、と独白するところが好き。こちら(地方)だって都会は未知だけど逆もしかりなんだろうな。

ドミューン(DOMMUNE)が出てきて、なんだか感激してしまった。面識はないけれど宇川さんすごいなあ。


ここから日記です

ちょっと元気なので最近は爪をぬってるのですが、爪を彩ると物を持つ元気が出るし、人からも(おせじでも)褒めてもらえるのでいい感じです。

最近夢のことを全然書いていないけど、この前は図書館の地下にいる夢を見た。そして今日は前の職場でお世話になっていた本屋さんと話す夢。あの本屋さんとまた話したい。
夢日記がいいのか悪いのかわからないけど、夢を日記につけはじめると、夢を見る頻度は上がる。


今週の山は終わったので、明日からが少し楽しみ。