ばくだんジュース、駄菓子屋さんにある甘くて毒々しい色のやつ。と思って検索かけたら出てこない!でもあるの。
そんな、ばくだんジュースみたいな一日だった。
9日
朝、連絡がくる夢を見る。
かばんを忘れて出勤する。(貴重品は持ってた)それを告げると「もうろくおぜうさん」と言われた。
そんなこと露知らずみたいな顔ですれ違う同僚に手を振る。あとから聞いたらその同僚もけっこうなミスしていたらしい。
昼、とても素敵な提案をされる。こっそりランチにいく。
夕方、恋愛相談を受ける。その話に出てくる人が、なんだか私が昔好きだった人に似ている。
夜、残業。ひさしぶりに仲の良い人と一緒に作業する。もう空気が夏。
悩んでることを聞いてもらう。すっと腑に落ちる答えを返してくれた。誰かにとってはそうでも、自分にとってはまた違う、そんな風な。
「小説書いてる?」と聞かれて「書いてない」と答えた。
「日記は?」「週に一度くらい」
でも、言わなかったけれど、本当は今日短歌をつくった。すごくひさしぶりに。
そして小説も読んだ。すごくひさしぶりに。
言葉は自分から近づいてこないけど、失っても遠ざかっても私の中から必ず再生する。
家に帰ると連絡がきたから、正夢になった。嬉しかった。
イレギュラーな、来客の絶えない日。
普段買わないばくだんジュース、のような、たまにしか許せない甘くて心惹かれる色の日。
大切な人に、幸せでいてほしい。
〈「フリーサイズの恋ってどんなの?」/ちょっと興味を引かれたので、わたしは訊いてみた。/「相手に期待せず依存しない。不測の事態が起きても自分でなんとかする。相手の状況に振り回されない、どんなサイズも受け止めるフリーサイズのシャツにお互いがなる、という恋」/「すごく楽ちんで安定した感じね」/「お洋服に置き換えると、すぐパジャマにされそうな感じね」〉
(凪良ゆう『わたしの美しい庭』収録「あの稲妻」より)
連作短編集。「あの稲妻」か「ロンダリング」が好き。引用した部分は、なんかどきっとさせられた。内容が重すぎなくて、かつ最後まで〈わたし〉のことに深入りせずに終わるのがいいと思った。
〈相手に依存しないって、いうなれば相手がいなくても特に困らないってことだから 〉
(同上より)