土曜日
部屋に帰って、そのままじっと時間がすぎていく。何かが怖いけどわからない。
日曜日
友人と津田の松原へ行く。その前に津田にあるブックカフェ「ゆるりと」へ寄る。静かで素敵な雰囲気だった。窓から海が見える。
津田の松原は、当たり前だがひたすら松の並木が続く。木々の影が落ちていて、冷えた影の中を歩いていくと突然海の光が目の前にひらける。
浜辺を散歩するのは久しぶり。砂浜が白くて、和歌山の白浜を思い出す。岩の隙間で魚が死んでいて、誰かが置いていったガラスや貝殻が宝石箱の中のように残されている。
すぐそばに神社があっておみくじを引く。恋愛のところに「一線を超えるな」と書いてあって笑った。
あじ竜王山公園にも寄ってもらう。すごく高いところにあって、島々が思っていたより近いことを知る。
友人がお手洗いに行っているあいだ、ひとりで展望台の欄干に手をかける。眼下はすぐ海ということではなく山があって、ここから飛び降りても海では死ねないのかと何となく思った。良くないと分かっているけど、死の幻想はいつも近くにある。近くて遠い海と同じくらいの距離で。
友人には恋人が出来て、その話を少しして別れる。いい方向へ向かってほしい。
〈ロマンティックとは夢。/日常を生き抜くのに必要不可欠な夢。/ロマンティックにクラシックを混ぜてスタイリングすれば/完全体の私になることができます。〉
(『装苑 2021年1月号』収録 橋本愛インタビューより)
『装苑 2021/1月号/Romantic ロマンティック。』
「ロマンティック」をテーマに、いろいろな人のインタビューが掲載されている。あなたにとってロマンティックとは何か、についてそれぞれが回答するのだが、言葉で返す人もいれば詩にしたり短歌にしたり写真にしたり、さまざまな答え方がある。
今回の装苑はいい感じ。
先日、装苑と同じ出版社から出ている『ミセス』が休刊になるという知らせを見た。永遠にあるように思っていたものがどんどん消えていく。けれど装苑が残ったことにほっとする気持ちもあった。ここずっと、装苑は休刊になるのかともやもやしていたので。最近はアイドル雑誌のようになってきてもいるけど、元来の独創性とうまく調和をとって長く続いてほしい。
ロマンティックとは何だろうと考える。たとえば波が去っていくこと。それでも海を見にいくこと、波に手を触れること。
それらを恥ずかしげもなく、こうして言葉に残すこと。