9日
わがままばかりごめん、と言われて、わがままを言うのって悪いことなの?と訊いた。
「わがままを言うことは悪いことじゃない。けど、わがままを聞いてくれる人がいるのは当たり前のことではないから、そのことは忘れてはいけないと思う」
とその人は言っていて、私にとっては、それを言えることも、当たり前のことではないと思ったんだよね。そのあとも寝る前までも、なんどか深く噛み締めた、しばらく。
10日
朝、用があって大学へ行く。大学ってやっぱり楽しそうだな。構内を歩いているとわくわくしてくる。警備員さんに道を尋ねると学生さんですか?と聞かれる。わーい。
夕方は、話していて、声で私だとばれた。らしい。私の声を聞いた何人かに、あとで声をかけられた。
声でわかるくらいには、私はここになじんでしまったんだろうか。
11日
トラブルが起きてなかなか帰れなかった。
「20代最後の受難」と言われた。
けっきょく自分を助けてあげられるのは自分だけなんだなって思った。ネガティブな意味ではなくて。
12日
トラブルが解決して元気になる。
涼しい雨が降っている。頭が痛いけど心地いい。
夕方、電話をする。優しくされると怖くなる。
13日
そこにいますか?と、電話の向こうに尋ねたら「Not at all.です」と言われた。
遊びに来てくれた人が、つらい気持ちを打ち明けてくれる。でももしかしたら、私がさらに傷つけてしまったのかもしれない。
HSPでしょう?と言われる。
私は自分ではそうは言わないけど、人から見ればそうなのかもしれない。
どこをそう思ったんだろう。
夜はなかなか帰れない。上司とたくさん話す。あと一日、がんばろう。
最果タヒ
『きみの言い訳は最高の芸術』

- 作者:最果タヒ
- 発売日: 2016/10/26
- メディア: 単行本
お客さんとこの本の話をした。ここで日記をつけた一番はじめに載せた本。あれから一年経ってしまった。
ずっと真夜中でいいのに。
『眩しいDNAだけ』
友人から教えてもらって、ずっと聴いている。