23日
朝、練習。
昼は丸亀にある「ヨーロピアン珈琲 長崎屋」で焼きカレーを食べる。食後の飲み物と一緒に、小川洋子『余白の愛』を読む。家を出るときになんとなく書棚からひっぱり出した本だが、なんとなく今の気分に合った内容でしずかに浸った。店内では『月の光』が流れていた。
耳を病んでいる女性が、患者同士の会に出て知り合った速記者の指に惹かれて……という物語。
遠のいたり激しくなったりすることはありません。ずっと同じ姿を保っています。いったいどこまで続いてゆくのでしょうか。わたしはそれが消えないことを心配しているのではなく、消えたあともう二度と自分の耳へは帰ってこないのではないかと、そのことを恐れているのです。
(小川洋子『余白の愛』より引用)
手に入れたいものが近くなるほど、それを失うことがこわくなる。痛いほど分かるし、それでも選択を迫って、終わりに向かっていくのが小川洋子だなって思う。欠損とラベリング、収集、片想い。『薬指の標本』にも少し似ていた。好き。
髪を切る場面も良かった。そう思うし、そうなるよね。髪を切るってすごく慎重な儀式になり得る。
宇多津の温泉に入って帰宅する。一日雨が降り続いていて、車中で本を開くと水中にいるようだった。
夜、前回観れていなかった『光る君へ』観る。「妾になれということ?」………。
24日
夢を見る。私の深層心理があらわれているんだなーーーと少し落ち込んだ。思い知らされたというほうがいいかな。あんなに鮮やかに夢を見て、それが現実には影を伸ばさず夢の中だけで完結することがすごい。ある意味、心の防衛が夢なのかもしれない。
朝マック、その後、ルヌガンガへ行き、人に贈る本を買う。本を選ぶ時に私はけっこう真剣な目をしているのかもしれない。
本屋には毎回、本が好きな人が来ていて、私はその空気が苦手だ。本が好きだと思っている人。私自身も、もちろんそうなのだが……。
本って贈られても困るかな? と思うけど、贈られることってあんまりないし、読まないなら売ってくれれば良いやと贈る。
こまごました買い物を済ませて帰宅。まだ14時。あとはのんびり家で過ごす。
『光る君へ』最新話観る。二番目はやっぱり病むか……。