3月31日
朝、PAUSA COFFEEでモーニング(トースト)。キャラメルラテ美味しかった。
桜を見つけにいく。こんな休みの日に来る事務連絡ほど、心を壊すものはない。憂鬱になる。こんなにつらいのなら、やめてしまったほうがいいのかもしれない。
朝、ご飯が運ばれてくるまでに小川洋子『完璧な病室』を読む。
――何故わたしたちは別人なのですか。
――あなたの体液の一滴が、わたしの中で繁殖し続けているというのに。
――あなたには届いていないのですか。この痛みとも圧迫とも痒みとも幻想ともいえる感触が。
ことばにならない声が、胸に沈殿していく。
短編集。表題作は病に冒された弟と姉と主治医の物語。
「冷めない紅茶」は水死体と女性と同級生とそのパートナーと図書館の話。
「ダイヴィング・プール」は孤児院で育ったふたりの少年少女の話。
脆弱な存在と、健全な存在が対照的にあって、そのどちらにも惹かれていく心と、それにともなう快楽、を想像する心。を描いている。どの物語も。
儚いものを愛でているけど儚いものはぶっ壊したくて、いとおしくて、でもやっぱりぶっ壊したくて、強いものにはぶっ壊されたい。そんな希望を感じる。
小川洋子って変態だと思う。でも綺麗なの。汚いけど綺麗。
たぶん、わからない人には何を言いたいのかわからない世界だと思う。けど、私は読んでいて、この物語たちの願いをわかりたくなってしまう。わかってしまいそうになる。好きです。
「揚羽蝶が壊れる時」は物語としてはいろいろ不完全ではあるのだけど、私はこれがこの本の中で一番好き。瑞々しいというか、すごく素直に表された話だと思う。相手を求める期待が一番強くあらわれている話だと思う。
小川洋子の書く物語で好きな表現はその恋の仕方なのかもしれない。私は、(物語で示されるさまざまな)それらの祈りを恋だと思っている。
「ダイヴィング・プール」は望月花梨さんに漫画にしてほしい。すごく良いと思う。
the brilliant greenの「冷たい花」で
清らかな心でぶっ潰したい
という歌詞があるけど、小川洋子の書く物語はそんな雰囲気になっていることが多い。
図書館にも生活のにおいがない。空気がしんと目をつぶってうつむいている。みんなが自分の内側に引きこもっているので、だれもわたしの気持ちを乱さない。
小川洋子「完璧な病室」から引用
いい!
そう、でも、気持ちを乱されることをきっと彼女は望んでいる一部分もあると思う。そして、いつくしみながら壊してほしいと願っている。読んでいる私が、勝手にそう願ってしまうだけかもしれないのだけれど。